行くぜっ!解凍少女

説明しよう!「解凍少女」とは、不妊治療で凍結保存した受精卵を解凍して産まれた女の子、スーちゃんのことなのだ!

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不妊治療は洞窟だった の巻

思い出す、洞窟の日々

先日実家の母が置いていってくれた二冊の文庫本。

 

朝が来る (文春文庫)

朝が来る (文春文庫)

 

 

 

悪いものが、来ませんように (角川文庫)

悪いものが、来ませんように (角川文庫)

 

 

産後めっきり読まなくなっていたのですが、久々に物語に没入する楽しさを思い出しあっという間に読み終えてしまいました。どちらも不妊治療がストーリーに大きく関わっていて、特に「朝が来る」の方が自分に似ていて感情移入せずにいられませんでした。

 

辛い不妊治療を辞めて特別養子縁組をすることに決めた夫婦。初めて我が子に対面した時の心情がこのように綴られていました。

 

長く暗い夜の底を歩いているような、光のないトンネルを抜けて。

永遠に明けないと思っていた夜が、今、明けた。

この子はうちに、朝を運んできた。


朝が来る(文春文庫)作者:辻村深月 

 

 

 

この一節を読んだ時、ホロホロ流れ落ちる涙を止めることができませんでした。

本当にそう。とにかく暗い、先が見えない、出口があるのかさえわからない。わかっているのはたったひとつ。先に進むほど道は狭くなるということだけ。

「夜」という表現も最もだと思いましたが、私にとっては「暗い洞窟」だったことを鮮明に思い出しました。

 

こんなことを言ったら驚かれるかもしれませんが、治療を続けるうちに私の望みは妊娠することではなくなっていました。ただこの洞窟を出たい、抜けたいという一心だったのです。

誰でもいいからこの先を教えて欲しい、いっそ行き止まりとわかってしまった方が気が楽だと思っていました。

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進むほど狭まる道の恐怖

のちに解凍少女を授かることになるクリニックに通う2年前、私たちは別のクリニックで初めての検査を受けました。何か原因があるなら知りたいくらいの気持ちだったのですが、予約が取れるのは一ヶ月後、初診料は7万円現金でと電話で告げられ「なんだかすごい世界だな〜」とその時は他人事のように考えていました。

ところが夫婦揃って検査をした結果、初対面の医師に「年齢的にもやるならすぐに体外受精をした方がいい」と言われ愕然。紛れも無い私たち自身の現実をつきつけられ、動転しました。渡された資料には体外受精一回につき約30万〜とあり「こんな高額な治療を勧めるなんて…!」と反感の気持ちもありました。

夫にとっても受け入れられるものではなく、それから2年の間、私たち夫婦の中で治療という選択肢は消えました。

 

「高確率で1年以内に妊娠できる!」という触れ込みのクリニックに変えて、タイミング→人工授精を経て結局体外受精にたどり着いた頃、私は35歳になっていました。

あの医師の言うことは正しかった。本気で妊娠を望むなら、1日でも早く最も成功率の高い方法でやるのが最善だった。もう絶対引き返すことのできない道をあえて振り返らないように、暗い道を進んでいました。

 

 

私と娘の出口

ただ、あの時の医師の言葉通りに体外受精をして授かっていたとして、その子は今隣にいる娘ではないはずです。もう私たちはもう娘に出会ってしまって、娘以外は考えられません。

出産直後初めて娘と向き合った時、私は笑っていました。ほとんど無意識に、たまらず吹き出す感じで。

暗い産道を抜けて出てきた娘と自分がシンクロしたのが面白かったのもあり。

「これでやっと未来が決まった」という安堵だったようにも思います。

洞窟の中で感じた先の見えない恐怖から、やっと解放されたのです。

やっぱり笑わずにいられませんでした。今もなぜか、思い出すたび笑ってしまいます。

 

 

 

何もかもすっかり忘れていたのに、小説のおかげで色々思い出しました。

やっぱり読書っていいですね〜。

 

ちなみに最初に紹介したもう一方は、ミステリーとしてかなり楽しめました。どの登場人物にも感情移入できなかったのですが、タイトルになっているフレーズ「悪いものが来ませんように」は、いつも娘に対し思っていることなのでとても共感しました。タイトルからの期待を大きく裏切られる内容でしたが、そこがまた面白かったです。

 

映画や洋ドラばかりだったけど、これからもっと小説読もう〜♪